2016年11月8日

【730日の、その先へ。】



帰国して10日が経つ。
毎日ばたばたしている中で、ふと思い出すロンボクの情景。
10日前にはインドネシアにいたんだな、と逆にびっくりしたりしている。


ちょっとさみしいけれどそれくらい、今では遠い昔の事のよう。




日本に帰ってきた。
不思議な気分。





まずやったこと。
2年間放置していた髪の毛をばっさり。
紫外線で傷んだ髪の毛は、2年間頑張った勲章。
でも今私がいるのは日本なんだって自分に言い聞かせる。


 

帰ってからずっと日本は寒くて。
どの写真にうつる景色も雲が覆っていて寒々しい。

そんなときにはロンボクのカラッと晴れた青空を思い出して、すがりつきたい気分になる。










この10日間。
布団でぐっすり眠れることに驚いている。
23時に寝れば、朝の7時まで一回も目を覚ますことがない。
早朝のアザーンや、ネズミに怯えることもなければ、雨漏れを心配する必要もない。
そして心のどこかにしこりが残っていたテロの恐怖からの緊張がストンとなくなった。


それでも夜出歩くのはやっぱり怖いし。
お財布丸出しでまだコンビニにも行けない。
昼の平和な住宅街を、後ろからつけられていないかと何度も振り返ってしまう。



耳にタコができるほど、口酸っぱく安全対策について訓練を受けた。
2年間の癖は日本人であってもすぐには抜けないかと思う。








いやいや、日本に帰ってきた。
任期中にあれだけ夢見た帰国。
あの時何度も想いを馳せた日本に、帰ってきた。



 

 
このブログを終わらせなくちゃいけないと思いつつ、手が出せないでいた。どうしても億劫で。本当に隊員としての最後の場所だから。




これを最後の記事にしよう。と、思うております。
 
青年海外協力隊に受かってから、インドネシア ロンボク島で任期を終え、今日にいたる日まで、約2年半に及ぶ日記の最後。
 



ブログをはじめた理由は、2つ。

連絡不精の私が、『元気だ、なんとかやっている』ということを日本にいる友達や家族に伝えたかったから。




もう一つが、いつかの隊員が悩んだ時や困った時の、参考になればと思ったから。


今日のことを覚えていよう。




そういう気持ちで続けた、書くということ。しんどいことも、うれしかったことも、
一喜一憂していた毎日を、
何の特別でもない、一人の人間の記録として残していよう




始めたきっかけとは裏腹に、ブログを書くことでたくさんの恩恵をいただきました。

 

記事を読んで個別で励ましてくれる人。
隊員のご両親が目を通してくださっていたり、
わざわざ自分のブログで紹介してくれる方。

お会いしたことはないけれど、温かいメッセージをくれた方たち。




「おまえの、クソどすっぴんドブスブログが一番好きやわ」とわざわざLINEをくれる友達もいた。

「みずほさんのブログ、楽しみにしている人たくさんいると思うよ。任期終えるのと同時にブログも閉じちゃうの?」





気まぐれに書いているブログだったけど、周りからいただく言葉に身が引き締まる思いでした。


協力隊としての730日。
夢のような期間。
私はこの先も歩いていきたいから始めた当初の気持ちのまま、このブログはここでおしまい。




 




ジェットコースターのような喜怒哀楽の毎日を隠すことなくここに残してきました。
 
 
こんな記事書いていいのか?と思いつつ、ここだけは「頑張らない場所」であるために、思ったこと、感じたことをそのまま書いていました。

 
 
 
それでも読んでくださる方はどんどん増えていって、
自分でも想定以上に多くの方たちが足を運んでくださったのは
 
 
知らない土地で
もがき
エラーを繰り返し
体当たりでも、ここにいるロンボクの人達と向き合っていたからだと考えています。



それがスーパースター的な誰かではなく、誰でもがなり得る、そこらへんの一人の人間だったから、ということ。
 
世界中の方たちに足を運んでいただきました。
 
 
 
 

 

2年間を通してわかったこと。
誰かに気持ちを伝えることが、勇気と体力がいること。


インドネシア語がうまく伝わってるか、自信はないし。


関係性がよくない上司に相談を持ち掛けるのは、1時間くらい気持ちの準備をしないといけなかった。

できれば話したくないけれど
発しなければ、2年間椅子に座ってるだけの任期。



時には寂しい思いをしたり。ジョークが通じたり。
そういう二年間を過ごしてきたからこそ、
我慢せずに伝えるべき、自分の気持ちや感謝の言葉。

 

色んなことを経験させてもらったけれど、少なくともトライして失敗したエラーの方が、何倍もこのロンボクを好きにさせてくれた。


そうやって言葉や自分の気持ちに、向き合おうとする自分は、今までにないちょっとした成長。





会社勤めの時は、不満があると組織のせいにしていた私。

それができなくなった協力隊の2年。



なんとしてでも自分で動かないと進まないし、自分で責任を持たなければいけない。当事者意識を持たざるを得ない環境で突っ走れたことも、大きな強みになったと感じています。





いやしかし。



「色々あった」なあ




あれだけ夢や希望に溢れていた出発する前。

任期を終える時、案外一言で片付く。



100人いるインドネシア人の中に、1人ポンっと日本人の私が飛び込んだ。


そりゃ何も変わらないし
残せるものなんてなんもないし。

言い訳されて
約束破られて
裏切られて。

我武者羅に頑張ったって、報われるのは1%あればいい方で。


でも人間関係を作って、言葉を超えて笑いあって、お互いを分かり合おうって向き合って。
なんだかんだちゃんと色々乗り越えてきた。











任期短縮を考えていた日々。
後ろからバイクに突っ込まれた日は職場で号泣したし、テロに怯える日々も、今だからいえる、同僚からのセクハラにだって悩まされてた日々も。
 
立ち直り方が分からなくなってしまったり、もう頑張れないと思ったり。





730日。


ちょっとだけ前に出て。
と思ったら後ろに引きずり込まれて。


ただそのたびに手を差し出してくれる同僚たちがいて。
だからこそ、あきらめきれなかった。
だからこそ、最後までここにいれた。



そんな毎日の繰り返し。












「みずー!」







遠くから名前を呼ばれる。
毎朝すれ違う、自転車にのっている新聞配達のおっちゃん。



「パギー!(おはよう!)」



そういって片手をあげてすれ違う。






それが時にはランドリーの家族だったり
以前乗ったタクシーの運転手だったり
道の途中で私を見つけた同僚であったり。
職場の前で知り合った警察官。
いつも行ってるおなじみカフェの店員。
歯医者で顔を合わせる家族。





島に知り合いが増えていく。どこかに行くたびに、知り合いとすれ違う。
 
 
そんな些細なことが、最後には幸せだなと思えたりする。










現地の人と同様に水シャワーを浴びて、50円のご飯をたべ、くっそあま~いコーヒーを飲んで、道端で人間観察をする。


ここに人がいて、宗教は違っても、全く同じ人間だったということ、
ロンボクの人達は、外人の私を家族のように受け入れてくれたこと。




すべてがかけがえのない大切な経験。




 

730日のその先へ。


青年海外協力隊は、人生のモラトリアムでしょうか。
 
 
赴任して間もない頃、ある人からこんなことを言われました。
 
 
 






 
 
「俺、青年海外協力隊って嫌いなんだよね。」
 
 
 
 



夢や希望にあふれていた赴任当初、私はその理由を聞き返すことができませんでした。
 
 
 
 



 
でもそういう人がいて当然だと思います。



みえないから。



隊員たちが現場で見てきた景色を、本人以外見ることができないから。
 
 


ブログを書く中でも誤解を与えないよう、そしてオフィシャルパスポートを持っている公人として、書かざるべき内容など意識して綴っていました。
 
 
 
 
 
アンチ協力隊がいてもいいと思っています。
 
でも、2年間を終えた今。私は彼に対して言いたいのです。
 
 
 





 
「行ってもいないのに批判するとはどういうこっちゃ。評価をするならば、あなたが協力隊として現地に行ってから、いくらでも嫌うがいい。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この辛さや、寂しさは。
そして、その寂しさを知ったからこその幸せは。
現地に出向いて、汗水たらして悩んだ隊員にしかわからない。
 
 
 
 
 
悩んでいる候補生がいるならば、私はこれからもきっと、その背中を押し続けると思います。

 
 
 
 
 
 
そして悩んでいる隊員がいるならば、「大丈夫だよ」と一言。日本からハグを。
 
 
 
 
 









協力隊を受けるために、東京の会社を辞め。
ここに来て、その一つの区切りであった730日を終えました。


その先の話。


 
ご縁があって、現在インドネシアの首都ジャカルタに行くための手続きを進めております。



2年、インドネシアのロンボク島というところに住んでいた私は年内に、協力隊としてではなく、海外赴任としてお仕事のために戻ってきます。




2年前は絶対に想像できなかった、まさか自分が協力隊後にインドネシアで働くという選択肢。こうやってがむしゃらに頑張った730日が導いてくれた、新しい人生の道筋。

 
 
 
いいと思う。私らしくて。
きっと私をよく知っている大学の友達も、あきれながらも応援してくれると思う。



これが私のロンボク730日滞在記。
こんどから、ジャカルタ〇〇日滞在記。
でもブログを続ける予定はないので、ジャカルタで見つけたら温かく見守ってやってくださいね。






悩みながら、それでも前を向いてきたつもり。
寂しいながら、それでも希望は捨てなかったつもり。
迷っても、その時のベストの道を選択してきた、つもり。



そんな日々の積み重ねが、幸せだなあと思える任期終了を招いてくれたんじゃないかなと考えています。






ここで得た経験を、ここで感じた幸せを。
ロンボクだけで終わらせないために。



 



またこんなとある女子のつぶやきを、世界のどこかで、話しをさせてください。




無事に任期を終了し、帰国できました。
このブログを通して出会えたすべての人。
ずっと応援してくれた、日本にいる家族、友達に感謝の気持ちを込めて。


2年間お付き合いいただきありがとうございました。
 
心の底から御礼申し上げます。



これにて、とある女子のロンボク730日滞在記、終了します。


2016年11月
Mizuho

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